課題名:先進的地域基盤技術を活用した次世代型抗体創薬システム及び診断用デバイスの開発事業化
特定領域
ライフサイエンス
中核機関
財団法人千葉県産業振興センター
委託機関
国立大学法人東京大学、国立大学法人千葉大学、独立行政法人放射線医学総合研究所、千葉県がんセンター
千葉・東葛エリア事業構想
千葉県では、「千葉県バイオ新産業創出プラン」及び「千葉新産業振興戦略」に基づき、県内のバイオ・ライフサイエンス分野の産業振興・研究開発の推進を図っています。この千葉・東葛エリアプロジェクトはそうした県の施策を実現するうえで重要であり、その取り組みと事業展開により新産業が創出され、バイオ・ライフサイエンスクラスター(千葉・東葛健康科学バイオクラスター)の形成が進展することはもとより、県民・国民の健康づくりに貢献することを目指しています。
千葉・東葛エリアとは
千葉県が都市エリア事業として実施しているプロジェクトの「事業エリア名」です。千葉大学、東京大学、放射線医学総合研究所、国立がんセンター東病院、千葉県がんセンター、バイオベンチャーなど、ライフサイエンス分野の集積が高い地域です。千葉大学(千葉市)を中心とした千葉エリアと東京大学(柏市)を中心とした東葛エリア、2つのエリアが連携して、産学官ネットワークの強化により地域のイノベーションシステムを発展的に展開し、新事業の創出、事業化を目指しております。
地域イノベーションクラスタープログラム 都市エリア型(発展)とは
文部科学省は平成22年度より地域科学技術振興施策として、地域と大学等との組織的な連携を強化し、地域の一層の自立化を促進するため、「知的クラスター創成事業」、「都市エリア産学官連携促進事業」及び「産学官連携戦略展開事業」を「イノベーションシステム整備事業(地域イノベーションクラスタープログラム)」に一本化し、補助金事業としました。イノベーションシステム整備事業においては、優れた研究開発ポテンシャルを有する地域の大学等を核とした産学官共同研究等を実施し、産学官の網の目のようなネットワークの構築により、イノベーションを持続的に創出するクラスターの形成を図ることとしています。都市エリア型では大学等の「知」を活用して新技術シーズを創出し自立的・継続的な産学官連携基� �を構築することにより、研究開発型の地域産業の育成を図り、小規模でも地域の特色を活かした強みを持つクラスターを形成することを目的とします。
自閉症や肥満
この「千葉・東葛エリア」プロジェクトは平成20年度から22年度まで、3ヵ年に亘り採択された「都市エリア型(発展)」共同研究事業です。「都市エリア型(発展)」事業は、都市エリア事業の最終段階にあたります。したがって、「健康科学バイオクラスター形成」を目指して、主に本事業終了後の技術移転等により、いかに多数の新製品・新事業を創出するかが重要課題です。
千葉・東葛エリア「都市エリア型(発展)」共同研究事業の概要
今日、高齢化社会の進展に伴い、がんや動脈硬化性疾患などの生活習慣病対策を推進することによる健康づくりの取り組みが重視されております。これまでに実施した当エリアの都市エリア産学官連携促進事業「一般型」では、がん等の疾患に関連する人工抗体を含む低分子抗体医薬や新創薬システム開発に有望な試験管内蛋白質合成系の高度化基盤技術等に優れた成果をあげました。この技術は治療薬、診断薬、イメージングプローブ、創薬リサーチツール等への広範な応用が期待されます。また、「一般型」では、眼底血管を対象とした動脈硬化測定システム技術等を進展させるとともに、地域医工学連携による独自生体計測技術を蓄積してきました。これらの成果を活かし、事業の持続的な展開による新事業の創出を目的として 、「都市エリア型(発展)」事業課題:「先進的地域基盤技術を活用した次世代型抗体創薬システム及び診断用デバイスの開発事業化」を実施しています。
この「都市エリア型(発展)」事業は、千葉県の施策としての地域の将来像並びに地域構想との整合性も考慮して、2件の統合プロジェクトテーマを設定し、東葛エリアでは新タイプの抗体医薬及び抗体創薬システムを、千葉エリアでは診断デバイスの開発を両エリアの産学官の連携のもと推進するものです。財団法人千葉県産業振興センターが中核機関となり、両エリアの大学・研究機関、バイオベンチャーを含む開発型企業、千葉県等で構成する広域的産学官連携プロジェクト体制で進めております。
統合プロジェクトⅠ(東葛エリア):無細胞蛋白質合成系の高度化基盤技術による創薬システム開発と、低分子抗体治療薬・診断薬への事業展開
「無細胞蛋白質合成系」とは、生きた細胞を使わず、試験管内で遺伝子から蛋白質を生産する方法です。「一般型」事業で樹立した無細胞蛋白質合成系を高度化した基盤技術により、従来の細胞を用いた生産技術では不可能な高機能・新機能を有する低分子抗体や人工抗体、さらには疾患関連蛋白質等を迅速・高効率に作製することができます。
うつ病と仕事
本プロジェクトは、東葛エリアの東京大学において無細胞系で種々の低分子型抗体を作製し、それを用いて千葉エリアの千葉大学、放射線医学総合研究所、千葉県がんセンターで、癌、神経再生等におけるイメージング、診断、治療薬等としての有効性を検証して、抗体医薬の創製・事業化を図る一方、創薬ターゲットの疾患関連蛋白質等のライブラリー化を行い、対応する抗体・化合物とのマッチングによる次世代型抗体創薬システムを開発して創薬探索の世界発信を目指しています。
「サブテーマ名」
1)無細胞蛋白質合成系の高度化基盤技術による創薬システム開発(グループ1)
①各種低分子抗体プローブの合成
②ターゲット� ��子の無細胞合成
③抗原・抗体ライブラリーの拠点形成と医療応用への高機能・高品質化
2)蛋白質プローブによる可視化・診断技術、治療薬の開発(グループ2)
④腫瘍特異的画像診断薬の開発
⑤低分子抗体による神経再生・疼痛治療薬の開発
⑥新規膜蛋白質を標的とする悪性度診断と治療法の開発
「研究実施体制」
〈研究代表者〉
東京大学大学院新領域創成科学研究科 上田 卓也 教授
〈産〉
(株)プロテイン・エクスプレス
ジーンフロンティア(株)
(株)医学生物学研究所
(株)オーク蛋白質研究所
久光製薬(株)
〈学〉
東京大学大学院、医科学研究所
千葉大学大学院医学研究院
〈官〉
放射線医学総合研究所
国立がん研究センター東病院
千葉県がんセンター
東葛テクノプラザ
千葉県
「平成21年度までの主な研究成果」
● 無細胞蛋白質合成系(PURE system)の高度化基盤技術の実証では、高効率リボソームディスプレイ(PRD)法の応用による新規スキャホールド等人工抗体ライブラリー構築、改変レクチンライブラリー構築、新規オープンサンドイッチ法(Q-body)及びエピトープマッピング法等の研究開発が進展した。
● 各種低分子抗体による癌イメージング、診断薬及び難治性疾患治療薬等の創出では、放射線標識抗体の評価とポジトロン核種標識法の確立、癌関連蛋白質高発現細胞を用いた評価系及び神経再生及び疼痛治療薬関連スクリーニング系・評価系を整備・構築した。更に、壊死巣マーカー候補蛋白質に対する機能性抗体等を取得した。
強迫観念と混乱の愛
統合プロジェクトⅡ(千葉エリア):低コスト、低侵襲、高性能な生活習慣病診断用デバイスの開発・実用化
生活習慣病の予防は、個人の健康度の改善や生活の質の向上にとどまらず、国民の健康寿命の延伸や医療費の適正化にもつながり、重要です。
本プロジェクトは、「一般型」及び「連携基盤整備型」事業における優れた成果と地域医工学連携による独自蓄積技術の融合・高度化により、健診用を主眼に生活習慣病診断のための実用的診断システムを構築し、早期に事業化することを目指しています。
その成果に基づき、地域の予防医療ネットワークの基盤強化に貢献していきます。
「サブテーマ名」
①健診に有用な新動脈硬化計測機器・計測システム開発・実用化
②簡易脳機能計測解析システム開発
③顔色及び舌など粘膜色の定量的測定、解析システム開発
④ハプテ ックセンサーによる腹部など弾力、変形計測、解析システム開発
⑤超音波による健診用内臓脂肪の定量的計測機器開発
「研究実施体制」
〈研究代表者〉
千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター 三宅 洋一 特任教授
〈産〉
(株)トプコン
アニマ(株)
(株)エルクエスト
タカノ(株)
東芝メディカルシステムズ(株)
〈学〉
千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター
千葉大学大学院医学研究院
千葉大学医学部附属病院
千葉大学大学院融合科学研究科
千葉大学大学院工学研究科
東邦大学医療センター佐倉病院
〈官〉
千葉県
「平成21年度までの主な研究成果」
● 動脈硬化症に関連ある眼底血管状態パラメータを取得し、眼底動脈から動脈硬化度を推測するアルゴリズムの検証を図った。
● 総合的高次脳機能診断機器を試作し、臨床現場でのフィールドテストを実施して、その有用性を確認した。
● 舌粘膜色情報計測法及び舌表面光沢画像撮影システムを構築し、それを用い舌色情報と臨床現場での臨床データとの関連についても検討を進めた。
● 腹部内臓脂肪量推定用として腹部三次元弾性分布計測システム及び変形計測システムを開発し、これらシステムを用い健常者について計測を試み、その計測法を構築した。
● 生体内を計測できる小型(簡易)超音波送受信システムを試作し、脂肪性肝疾患症例におけ る臨床データに対応可能な複数周波数による脂肪検出アルゴリズムを構築した。
その他の事業
千葉・東葛エリアの共同研究事業において、産学官連携体制の強化と研究展開の方向性ならびに事業化計画の適正化を図ることを目的に「健康科学事業化推進会議」及び「外部評価委員会」を設置しています。
また、広報活動とともに県内の研究交流の一層の推進を図るため、定期的に「産学官連携交流会」「研究成果報告会」を開催するとともに、千葉県バイオ・ライフサイエンス・ネットワーク会議とも連携しています。
事業推進体制
本事業は千葉県の協力のもと財団法人千葉県産業振興センターが中核機関となり、事業全体のマネジメントを行う事業総括、研究のマネジメントを行う研究統括及び専任の科学技術コーディネーター2名が中心となって事業全般の進捗管理や事業マネジメントを推進しています。プロジェクトごとに定期的に「プロジェクト会議」(事業戦略会議、部会としてサブテーマ別事業化部会設置)、県内の有識者等からなる「千葉・東葛エリア健康科学事業化推進会議」、県内外の専門委員による「外部評価委員会」を開催し、プロジェクトの適正な推進をサポートしています。
抗体医薬とは
抗体とは、病原菌やウイルスなどの異物(抗原)を特定結合して生体内から排除する働きをする蛋白分子のことを言います。近年、抗体医薬品はがん細胞などに特異的に発現している標的抗原分子を狙い撃ちできることから、従来の医薬にくらべて治療効果に優れ、副作用が少ないことが期待されています。今後、様々な疾病に対する種々の抗体医薬の開発が加速されることが予測されています。
生活習慣病とは
生活習慣病(糖尿病や心臓病、脳卒中、がんなど)は、毎日の良くない生活習慣、運動不足や食べ過ぎなどの積み重ねが深く関わって引き起こされます。そのため、早期診断で早い段階から生活習慣を見直せば、多くは予防することができます。最近、生活習慣病の予備群とされるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)では、内臓脂肪の蓄積が健康を脅かし、数々の怖い生活習慣病を併発しやすくなると言われています。
平成22年度 千葉・東葛エリア リーフレット
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